私的ベストアルバム2015
こんにちは。あっという間に今年も年末。恒例行事「年間ベストアルバム」の季節です。
Twitterのタイムラインは、様々な人がそれぞれにあーでもないこーでもないと悩みに悩んで作ったアルバムランキングと、そこから発生するあーでもないこーでもないという議論でいっぱいですね。
僕も自分なりにあーでもないこーでもないと悩んで、ランキングを作ってみました。音楽雑誌でも音楽サイトでもない、一個人のランキングですが、この記事からあーでもないこーでもないという議論がまた少しでも生まれれば幸いです。アルバムランキングで最も面白いのは、順位そのものではなく、そのランキングを見ながら今年の音楽について語らうことだと思っていますので。
しかし、「2015年のポップ見取り図」みたいな大それたものではなく、僕が好きなアルバムを並べただけですので、「ふ〜ん」と思いながら気楽に見てください。(ポップ見取り図作ってみたいけど、聴いてる枚数が足りなすぎる)
では、私的ベストアルバム2015、TOP10を発表します。
10.Grimes / Art Angels
最強の宅録女子、DIYポップアイコンことグライムスの新作。キャッチーすぎでしょ……と苦手意識を持って聴いてたんですが、"REALiTi"という曲がすごく好きで、そこからアルバムも好きになりました。
最終曲Butterflyでの「あなたが理想の女の子を求めているのだとしても 私は絶対にそうなってあげない」というラインに、ここ数年の苦悩が表れているように感じます。
9.Alabama Shakes / Sound & Color
このブルースロックがチャート1位をとるアメリカってすごいですね。
このアルバムは特に小難しく話すことなどありません。ただただかっこいいブルースロックが鳴らされているアルバム!
なお、この最高にかっこいいボーカルは男?女?、という問いは誰もが通る道です。
Alabama Shakes - Don't Wanna Fight (Official Video - Live from Capitol Studio A)
8. Tame Impala / Currents
最初に聴いた時の印象は「は?何これ?買って損した…」でした。Tame Impala流ギターサイケを期待して買ったら、まさかのシンセがもやもやと鳴るダンスミュージック。全く理解できませんでした。気持ち悪いアルバム。
しかし、聴きこめば分かってくるものですね。音楽的なトリップ感は今年最高かも。ミニマルなビートとギター、もやもやしたシンセ、その上を泳ぐ浮遊感たっぷりのボーカル。『Currents』という海に突然投げ出され、その中で溺れるような、或いは漂うような感覚に陥ります。やっぱり、気持ちいいアルバム。
7. Jamie xx /In Clour
The xx好きの僕としてはチェックせざるをえなかった一枚。やはり、ベッドルーム発のハウスミュージックという雰囲気が強いですが、"Gosh"や"I Know There's Gonna Be (Good Time)"など、バンドとは違ったタイプの表情も見せています(そしてこれがとても良い)。
Jamie xxという音楽家への信頼度がさらに高まったアルバムでした。The xxの3rdアルバムも早く出して!
Jamie XX feat. Romy - Loud Places - Live du Grand Journal
6.吉田ヨウヘイgroup / paradise lost, it begins
"Music, you all"という、音楽絶対主義宣言で始まるこのアルバム。歌詞中で象徴的なもの(彼や彼女など)が音楽のメタファーである、というレビューをサインマガジンで読みました。そう聴くと、音楽への愛憎に溢れたアルバムですね。
楽曲構成をはじめ、ツインギターの攻撃的な絡みも管楽器や女声ボーカルの入れ方もすごく面白いです。特に女声コーラスは、和製Dirty Projectorsと言われるのも納得できる使われ方。
歌も歌詞の乗せ方も下手だな〜、とか思いながらも、好きなのでTOP10に入れました。ツンデレランクイン。
5.Julia Holter / Have You In My Wilderness
ランキングを確定させる直前に聴いて、あまりの良さに滑り込みでランクイン。
ポップスに近いポストクラシカル、という感じのアルバムですね。アンビエントやクラシックの美しさを持ったストリングスと儚くも芯のある歌声の組み合わせは卑怯です。良すぎる。
4. Destroyer / Poison Season
管弦楽器がふんだんに使われたインディーフォーク・ポップアルバム。歌声はさながらDavid Bowie。そりゃあいいアルバムにもなりますよ。
これについては、もう「いいアルバム」以外に言うことがありません。おススメの一枚。
3. Jim O'Rourke / Simple Songs
「シンプル」なんて嘘ばっかりですね。メロディがシンプルで、アコースティックギターの音が効いてて、「シンプル」って思わされそうですけど、複雑なアルバム。濃密で巧みなアレンジに圧倒されました。さすがジム・オルーク。
アルバムを通して聴くと、交響曲を聴き終えたような気分になります。ラストの"All Your Love"があまりに壮大だからでしょうか(この曲最高です)。
Jim O'Rourke - Friends With Benefits
2. Kendrick Lamar / To Pimp A Butterfly
皆さんがいろんなランキングでこのアルバムを見飽きているのは知ってますよ。でもこれを挙げないで何を挙げろっていうんですか。
人種差別や自分の中での葛藤を生々しく綴った歌詞も、ザ・ブラックミュージックなバックトラックも、途轍もなくハイクオリティ。かなり長いアルバムですが、歌詞を読みながら聴くとあまりの濃密さに時間を忘れてしまいます。
僕はヒップホップが若干苦手ですが、これはさすがに圧倒されました。アルバムの流れで聴く"u"と"i"が大好きです。最高。絶対に歌詞を読んで聴いてほしい。
1. cero / Obscure Ride
2015年ベストアルバムはceroの『Obscure Ride』 !!
黒人音楽的に揺れるビートと、それに乗せられる歌ともラップともつかない高城晶平のフロウ。ネオソウル、アフロビート、ニューソウル、ヒップホップなどなどを自分たちのポップミュージックとして纏め上げた大傑作です。
前作『My Lost City』で見られた、アルバム全体で1つのストーリーを作り出していく歌詞は、今作でも健在。1stアルバムの"21世紀の日照りの都に雨が降る"から地続きになっているのには感動しました。
この半年間、全く飽きずに聴き続けたアルバムでした。最高。
以上が僕のAlbum of the Year2015になります。
いいアルバムがたくさんで10枚選ぶのは大変でした。Florence + The MachineとかWolf AlicaとかHiatus KaiyoteとかSiskiyouとかのアルバムもすごく良かったので入れたかったです…!
見返してみるとPitchf○rkみたいなランキングですね。そういう趣味だから仕方ないんですけど。
所謂ロックバンドをAlabama Shakesしかランクインさせなかったことに、自分の好みの変化を感じました。ロックバンド的な「ドカーンと鳴らされる瞬発力と昂揚感」よりも、「沸くか沸かないかの高い温度がジワジワ長く続く」という作品が好きです。
UKロックこそが音楽だった頃の自分がこのランキングを見たら何て言うのかな…。(ノエルの2ndもWolf Aliceもいいアルバムでしたよ!)
ちなみに、心の中での年間ベストはD'Angeloの『Black Messiah』がぶっちぎりトップだったのですが、聴いたのがギリギリ去年だったので外しておきました。
あ、でも日本盤の発売は今年か……。
じゃあ………
裏年間ベストアルバムはD'Angelo / Black Messiah
"Another Life"
"1000 Deaths"
それでは皆様、よいお年を!