2016上半期ベストアルバム
お久しぶりです。大学で訳が分からないほど地層ばかり見ていたら、更新を忘れていました。生きてます。
気付けば6月。「上半期ベストアルバム」という楽しい遊びの季節。せっかくの音楽ブログだし、備忘録としてもやらなきゃ勿体無い。
去年の上半期ベストよりも真面目にやります。とりあえず、10作品。今回は順位無しです。ランキングは年末に。
いい曲しか貼らないから、ぜひ再生してくれ!
Radiohead / A Moon Shaped Pool
遂にリリースされたRadioheadの新作!リリース日に早起きして朝から聴きました(朝に聴くのは不正解だった気もします…)
アンビエントやポスト・クラシカルの印象がかなり強いアルバム。メロディの強さよりもサウンド全体の陶酔感で聴かせるタイプ、という印象。
とりあえず、この新曲"Daydreaming"を聴いてくれ。このページを開いてしまった人は全員、興味が無くてもとりあえず聴いてくれ。お願いします。
最高だ……
本当に白昼夢に飲み込まれていくような、目の前の風景が全て捻れて滲んでいくような感覚にさせられる曲。
もちろん、気に入らない人もいるだろう。
キャッチ―なメロディがあるわけでもないし、分かりやすいサウンドではない。調性も曖昧で捉えどころが無く、暗い。
アルバム全体もこんなトーンなので、「退屈なアルバム」と片付けられても仕方ないとすら思う。リスナーがRadioheadに期待してしまう「斬新さ」も特にない(ここまでアンビエントに影響された音楽をロックバンドがやるというのは珍しいかもしれないが、そもそも彼らを普通のロックバンドに括って評価するのが筋違い)。ついに収録された"True Love Waits"のメロディとコード感が他の曲から浮いている、というのも事実(本当にいい曲だけど)。
それでも、いいアルバムだ!と感じている。Radioheadがこれまでも鳴らしてきた「美しさ」が詰まっている。聴いていると、ぼんやりと曖昧な美しさに身を任せて消えてしまえそう。最終曲"True Love Waits"が終わると、Radioheadに置いていかれたような気分になる。消えてしまえそうな気分だけ聴き手に残して、彼らは音と共にいなくなってしまう。ずるい。もう一度"Burn The Witch"から聴き直す。
このアルバムを聴くと「森は生きている」というバンドの『グッド・ナイト』という作品を思い出す。ぼんやりしていると捉えどころもなく聞き流してしまいそうだが、一歩踏み込めばそこには音楽の秘境が広がっているような気がする。「分かりやすく消費されていく音楽」の対極にある存在、と言ったら怒られるだろうか。多方面から怒られそうだ。
今後も聴いていくつもり。理解できる日が来ると信じたい。
METAFIVE / META
天才たちの集い、METAFIVE!高橋幸宏、小山田圭吾、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井という反則級のメンバー。そりゃあ傑作ができるわけだ!
ギターとシンセが鮮やかに飛び交うダンスミュージック。しかし絶対に下品にならない。なるわけがない(ほとんどYMOだしね)。ビートとボーカルに身を任せてもいいし、何重にもレイヤーされたフレーズを一つ一つ確かめるように聴き込んでもいい。どんな聴き方をしても面白くて気持ちいいはず。
もう出だしからかっこいいよ。ずるいよ。アルバム聴いてるとニヤニヤが止まらない。
濃密すぎて少し疲れるから何回も聴けないけど、こんなメンバーでさらっとしたアルバム作られてもがっかりしそうだから、これでオッケーではないでしょうか。
Daughter / Not To Disappear
イギリス期待のバンド、Daughterの2ndアルバム。ちょっと異常なぐらい良いアルバムです。感動してしまった。
1stと同様、The xxのような暗く美しい雰囲気を持った曲が並ぶ。クオリティーがとてつもなく高い。そして時々、歌とギターで泣かせにくる。ズルい。
一番キャッチ―なリード曲"How"を貼っておきます。きのこ帝国とかが好きな人は絶対に気に入るはず!アルバムはきのこ帝国っぽくないけど、この曲を入り口に聴いてくれたら嬉しい。
Klan Aileen / Nightseeing
こちらは曲の紹介です。2012年に出した『Astroride』以降、僕は彼らの活動をほとんど追えていませんでしたが、どうやらほとんど新曲を出していなかったよう。久しぶりに、ガツンとやってくれました。これからも楽しみです。
グランジ、ノイズ、轟音好きは必聴!!轟音好きは必聴!!!(大切なので2回)
『Astroride』の頃のブルース・サイケとは違う、ヒリヒリした轟音が突き刺さる曲。かっこよすぎる。このギターノイズだけでKOされてしまいそう。
リリースが7inchだけなのがちょっと残念。しかも即完売。アルバム出してくれ、お願いします。
Whitney / Light Upon The Lake
この記事を書き始めてから初めて聴いています。アメリカのバンドだそうで、これがデビューアルバムとのこと。すごい新人が出てきたな…
素敵すぎませんか…これ……
彼らのTwitterプロフィールの通り「country soul」といった雰囲気のアルバム。ファルセットで歌われる爽やかグッドメロディ。アレンジは風通しが良いように聴かせながらも、何本ものギターと管弦楽器が重ねられていて惚れ惚れする響き。
このカントリーな質感は絶対に武器になるので、是非とも捨てないでブラッシュアップしていってほしい。(別にどこかの金持ち農夫の話なんかしてませんよ?)
蛇足だけど、バンド名がホイットニー・ヒューストンとかぶるせいで検索しにくいのはいいんですかね…
ANOHNI / Hopelessness
Antony and the Johnsonsでの活動でも知られるANOHNI(旧名Antony Hegarty)によるアルバム。アノーニ名義でのアルバムは初とのこと。まずは音を聴いてみましょう。
何よりまずこの声!!滑らかだが、内側で強い感情が燃えているような声(歌詞による印象も強いかも)。非常に魅力的です。
サウンドはAntony and the Johnsonsの路線とは全く異なる、壮大で電子的なサウンド。しかも大味な力技ではなく、かなり凝った音の構成。アルバムを聴きながら、うわーこんな音入れるのかスゲえ!、って何回も驚きました。というか、うわー、って何回か思わず声に出しました。痺れる。
今作は歌詞の内容が非常にシリアスで、そこも重要な要素になってきていますが、手元に歌詞が無くあまりチェックできていないので、割愛します。調べてみるとインタビュー記事が複数ヒットするはずなので、気になる方は是非。
De Rosa / Weem
スコットランドのバンドDe Rosaの3rdアルバム。フォークが基調となっている、冷たい質感のインディーロックアルバム。ギターのアルペジオが綺麗です。
このバンドを取り上げようと思った理由は、とにかく先行シングル”Spectres”がいい曲だったこと。ちょっと聴いてみてくださいな。
透き通るような、美しい曲。全ての音がきらきらしている。上半期ベスト級の曲だと思ってる。
ちなみに、アルバム全体はもうちょっと陰のある雰囲気です。たまにトラッドみたいな匂いもします。おすすめの一枚。
Special Favorite Music / World's Magic
オシャレキラキラ大編成シティポップ。もうジャケットからオシャレ。最近シティポップバンドはお腹一杯だしあまりにもキラキラっぽくて馴染まないかな、と思ってた。まあ、試しに1回聴いてみるか…
すいません、すごくいい曲でした。
バイトが終わった後の深夜にヘロヘロ帰りながら、頭空っぽにして聴くのが好きです。特にこの"Magic Hour"という曲がいい。チルアウトしよう。他の曲はもっとキラキラオシャレ感強めでしたが、素朴さも感じるいいアルバム!
Mitski / Puberty 2
この記事をひと通り書き終わり、アップする直前に発見しました、Mitski。ちょっともう本当にいいアルバムだよこれは。
アコースティックな音もノイジーなギターも感傷的な気持ちもエモーショナルな展開も美しい歌も何でもかんでも全部入ってるポップソング。聴いていて本当にワクワクする。ポップソングってこういうことでしょ!
もうこれ以上言うことないや。素晴らしい。ギリギリで素晴らしい作品に出会えて良かったです。
Finnegan Shanahan & Contemporaneous / The Two Halves
これ、本当は内緒にしておきたかったよ。ほとんど話題になってないし、こっそり楽しんでニヤニヤしてようかとも思ったよ。すごくいい音楽を見つけてしまったんだよ。
とりあえず、アルバムのトレーラーをどうぞ。ものすごく短いけど。
ワクワクする音楽が鳴っている…
ポストクラシカルど真ん中な音もあれば、ポップやジャズの感覚が強いシーンも多い。ポストクラシカルなんてお上品で聴いてられっかよ、という人にもおすすめです。
もうこのアルバムについては言うことがありません。ただただワクワクする『音楽』。最高ですね。大好き。
…ざっとこんなところでしょうか。紹介にしては、一枚一枚わりかし丁寧に書いてしまったので、年末に書くことが無くなりそうで不安です…。
上に紹介した他にも…
David Bowie / ★
入江陽 / SF
Kendrick Lamar / untitled unmastered.
スカート / CALL
Stephen Steinbrink / Anagrams
Chance the Rapper / Coloring Book
王舟 / PICTURE
James Blake / The Colour in Anything
Anderson .Paak / Malibu
…などなど、どれも良くて粒ぞろいの2016年上半期でした。書きたいのはやまやまですが、文章が長くなってきたので割愛します……
(David Bowieに関しては、今さら僕が書くことなんてないです。遺作とか関係なく素晴らしいアルバム。)
2016年後半も楽しみです。早速The Avalanchesがかましてくれていますね!
年末には年間ベストを(多分)やるので、時間と興味がある方はどうぞお付き合いください。