私的ベストアルバム2016
2016年、ポップ音楽にとってはとても幸せな1年だったと思います。素晴らしいアルバムばかりでした。聴いていて思わず感嘆の声が漏れてしまうような作品が何枚もリリースされ心が躍る日々。こんな素晴らしい年が続けばいいな、と能天気に考えています。
今年も、年間ベストアルバムをここに残しておこうと思います。今年は20枚!個人的によく聴いたアルバムをまとめておきました。
ちなみにこちらが去年の年間ベスト
今年は良い作品が多いだけにランキングをつけるのが難しすぎました。そこで今回は、あまり細かい順位はつけないでおこうと思います。無理やりランキングしても仕方ないので。
個人的に抜群に好きな作品が5枚あったので、それらはしっかり書かせていただきました。順位もしっかりつけました。
しかし、6~20位も良い作品ばかりなので、ぜひ聴いてみてください!YouTubeリンク大量に貼りましたので。(レビューは1行ぐらいで)
では、いきましょう。まずはいきなりですが、TOP20ギリギリ選外から。
次点
John K. Samson / Winter Wheat
THE NOVEMBERS / Hallelujah
ANOHNI / Hopelessness
TAMTAM / NEWPOESY
続いて、20→10位!(順番に意味はありません)
Savages / Adore Life
ロック不発と言われる2016年に最もかっこよかったロックバンドは間違いなくSavages。ポスト・ハードコア。
Chance The Rapper / Coloring Book
黒人音楽をゴスペルまで混ぜ込んだヒップホップ。完璧。
Anderson .Paak / Malibu
新進気鋭のラッパー。かっこよすぎる。
Francis and the Lights / Farewell, Starlite!
「デジタルクワイア」とも言われるボーカル技法の立役者。こちらはカニエウエストとボンイヴェールまでfeatされた豪華コラボ曲。
METAFIVE / META!
反則級のメンバーによる反則級のアルバム。良いに決まってんだろ!
The Last Shadow Puppets / Everything You've Come to Expect
ゴージャスなサウンドの豊かなポップソング。最近このタイプの音楽ってなかなか無いのでは。
Shabaka and the Ancestors / Wisdom of Elders
民族音楽を取り込んだジャズfromイギリス。カマシ・ワシントンとはまた違いますが、カマシが好きだった人は是非。
Moddi / Unsongs
トラッドフォークの匂いが漂う北欧フォーク・ポップ。北欧好き必聴。
American Football / American Football (2)
さすがアメフト。久々すぎて不安でしたが、杞憂でしたね。素晴らしい。
Finnegan Shanahan / The Two Halves
ポストロックとかRadioheadとか好きな人にはハマりそうなインディー・クラシック。展開も豊富で素晴らしい作品です。
さてここからTOP10!まずは6→10位。(こちらも順番に意味なし)
Klan Aileen / Klan Aileen
退廃的で美しいノイズを撒き散らすバンド。轟音、ノイズ好きは必聴。
Mitski / Puberty2
インディー・オルタナの救世主ことMitski。めちゃくちゃ良い曲です。
David Bowie / ★
自分の死すらもアルバムの演出にしてしまうというとんでもない作品。ラストアルバムと分かっているのに微塵も懐古的でないのも凄い。そしてクオリティーが高い。
サニーデイ・サービス / DANCE TO YOU
緩やかに鮮やかにダンスするようなアルバム。曽我部恵一の多彩なギターフレーズも素晴らしい。"セツナ"名曲です。
Whitney / Light up on the Lake
カントリー・ソウル!ズルいなと思うような音楽性ですね。良すぎる。
さて、ここからはTOP5!順位もレビュー(というか感想文)もちゃんとつけました!どうぞ。
5. cero / 街の報せ
すいません、シングルだけどカウントさせてください。こんな素晴らしい作品を無視なんてできません!
ベッタリとした揺れるグルーヴを極上のポップソングに纏め上げるすごさよ。名盤『Obscure Ride』からさらに進化したceroがここに!っていう感じのシングルです。歌詞もMVもこの上なく素敵。街に無数に存在するそれぞれの愛しい夜が鮮やかに立ち上がってくるような感覚を覚える。
また、カップリングの"ロープウェー"と"よきせぬ"もすごい。個人的には"ロープウェー"が大好き。抑制されたトラックの素晴らしさもさることながら、歌詞がとんでもない。
Everything's Gone To The Foggy Outside
やがて人生は次のコーナーに
人生が次のコーナーに差し掛かって
繰り返されるこの歌詞のすごさよ。「foggy」と「コーナー」というワードから先の見えない不安も感じる。しかし、"街の報せ"の歌詞に
携帯の充電がとっくに切れたけど
坂道を登り振り返れば
(悪くはないんだよ)
というラインがあるおかげで、この「コーナー」の先も悪くはないような気がしてくる。曲順の妙ですね。
4. Radiohead / A Moon Shaped Pool
リリースから半年以上経っても、聴くたびに発見がある。そんな奥深く美しいアルバムである。Radioheadが追求してきた美しさの結実!ポップミュージックの秘境とはこの作品である。しかし、いくら聴いても近くならない、こちらとは隔絶した世界が広がっているよう。
サマーソニックで観た時、このアルバムの曲がライブでもしっかり映えていたことが印象的でした。(少し意外だった)
トム・ヨークが、長年連れ添ったパートナーであるレイチェルと別れたことがこのアルバムに大きく影響している、と言われていました。そしてこの年末にそのレイチェルが癌で亡くなったとのこと。このアルバムの意味が変わってきそう。僕たちはこれからどんな気持ちで"True Love Waits"を聴いたらいいのでしょう。
3. 宇多田ヒカル / Fantome
ついに宇多田ヒカルが帰ってきた!ここまで強いポップミュージックが近年の日本にあっただろうか?!…などと余計なことを言ってしまいそうだが、間違いなく名作である。
"俺の彼女"や"忘却"などから窺えるボーカルの表現力の高さや、アルバム全体のストリングスアレンジのレベルの高さ(これは本当にすごい)など、恐ろしくクオリティが高い。サウンドの質感が日本人離れしていて、聴いていて真っ先に連想したのはFrank Oceanだった(宇多田ヒカルとFrank Ocean両者のアルバムにKOHHが参加しているのも面白い)。
B面の曲順に振り回された人も多い気がするが(曲調も歌詞の視点も真逆と言える曲が並ぶ)、個人的にはとにかく全曲大好きだったので、TOP3です。
2. Bon Iver / 22, A Million
ジャスティン・バーノンは一体どうしてしまったんだ?!と驚かされた人は多いだろう。自分も最初は、何が何だか分からなかった。だってボン・イヴェールっていったらもっとフォーキーで壮大で冬にぴったりの、あのボン・イヴェールだよ?!
何層にも重なるデジタル加工されたジャスティンの声、ぶっ飛んだサウンド。凄すぎる。しかし、テキトーな曲をサウンドの新しさでごり押ししているわけではない。素晴らしいソングライティングと大胆なプロダクションの融合が、このアルバムを傑作たらしめる所以である(重要)。ボン・イヴェール、流石だ。"33 GOD"は個人的な年間ベストソングの1つですね。
ちなみにこちら、ボン・イヴェールからのクリスマスプレゼントのようなライブ映像。過去の曲のアレンジも大胆に変わっている。また来日してほしいな。
今年の2月に観たBon Iverのライブは人生のベストアクトです。心の奥底まで響いてくるライブでした。余談ですが、この時のライブに打ちのめされた僕は「フォークを土台に組み込んだバンドを組もう!」と決意。翌日の午前中には御茶ノ水へ行き、白いテレキャスターを購入したのでした。
1. Frank Ocean / Blonde
間違いなく、2016年に最もよく聴いていたアルバムはこの『Blonde』だった。
ビートを取り払い、浮遊感と奥行きをもってリスナーを包み込むサウンド。そこに乗るフランク・オーシャンの声。とにかく美しい。"Self Control"や"Godspeed"では歌が入ってきた瞬間に涙腺が決壊しそうになる。Radioheadの『A Moon Shaped Pool』の美しさとは異なる、もっと近い距離から心の柔らかい部分を撫でてくるような作品だった。
文句なしに、今年の年間ベストアルバムです。
というわけで、以上が2016年ベストアルバム20+αでした。
私のランキングは個人的な好みでしたが、2016年がどんな年だったかを切り取るようなランキングもたくさん発表されているので、そちらも要チェックですね。
来年はThe xxから2017年が始まりそうです。
これはいい予感…!
Fleet Foxesのリリースも噂されていますし、来年も楽しみですね。