Top 25 Best Records of 2018
2018年初のブログ更新です。毎年恒例、素人年間ベスト。今年は25枚にしました。リスナー個人の年間ベストは偏っていた方が面白いと考えているので、とにかく好きなものだけ選びました。このブログから2018年の音楽シーンやそのトレンドは特に見えてきませんが、いい音楽はたくさん載せたので、お楽しみください。
メディアのアルバムレビューやYouTube等のリンクも貼っておきます。
25. Saba / CARE FOR ME
Saba: CARE FOR ME Album Review | Pitchfork
シカゴのラッパーSabaによる新作。チャンスの "Angels" にfeat.されていたことでもお馴染みですが、彼自身のアルバムも素晴らしい出来。歌心を感じるラップはチャンスに通じるところかもしれません。ピアノがメインになっている曲が多く、美しさを感じるHip Hopアルバムです。
Saba - "Busy" (Official Video) - YouTube
24. Big Red Machine / Big Red Machine
ビッグ・レッド・マシーン 『Big Red Machine』 ボン・イヴェール×ナショナル! 実験性に溢れつつ讃美歌のような美しさ | Mikiki
Bon IverのJustin VernonとThe NationalのAaron Dessnerによるプロジェクトです。'22, A Million' と 'Sleep Well Beast' と地続きで先にある作品という印象でした。まだまだ実験段階という感じもありますが、"Lyla" などのビートのかっこよさや " I Won't Run From It" のフォーキーなメロディーなど、両バンドの良さが出まくりです。
Big Red Machine - Lyla (Official Audio) - YouTube
23. He Was Eaten By Owls / Inchoate with the Light Go I
Inchoate With The Light Go I | He Was Eaten By Owls
インディークラシックにビートミュージックを掛け合わせたような音楽です。今作で初めて聴きましたが、前作もとんでもない内容でした。何なんだこの人たちは。Finnegan Shanahanを初めて聴いた時の衝撃を思い出しました。
かなり挑戦的な内容になっていますが、随所に入ってくるボーカルやアコースティックギターの響きが、このアルバムを親しみやすいものにしています。
In The Grey Of One's Matter (Refrain) by He Was Eaten By Owls - YouTube
22. Masayoshi Fujita / Book of Life
Masayoshi Fujita×岡田拓郎―往復書簡インタヴューで探る、ハーモニーとメロディーの境界にあるもの | Mikiki
ドイツ在住の日本人ヴィブラフォン奏者による作品。イギリスのポストクラシカル超重要レーベルErased Tapesからリリースされました。このアルバムでは電気的なエフェクトを用いず、ヴィブラフォンの楽器としての可能性を探求するという方針になっており、プリペアド的手法が駆使されています。そういった演奏の面白さや、他の楽器と合わせたサウンドが素晴らしく、まさにErased Tapesな内容です。最高。
Erased Tapesといえば今年はNils Frahmも凄かったし、今後も要注目ですね。
Masayoshi Fujita - Book of Life - YouTube
21. Lucy Dacus / Historian
[REVIEW] Lucy Dacus - Historian | Monchicon!
女性SSWが人気を集めているここ数年今年もMItskiやSnail Mailsが話題になりましたが、この人も忘れてはいけない。1曲目 "Night Shift" を聴くだけでも、このエモーショナルで美しい曲の魅力が伝わるはずです。SSW的フォーク感もありつつ、オルタナティブロック的なサウンドの力強さが一番の魅力です。
Julien Baker、Phoebe Bridgersと一緒に3人で組んだboygeniusという反則級のグループもありますので、要チェックです。
Lucy Dacus - "Night Shift" (Official Audio) - YouTube
20. Tim Linghaus / Memory Sketches
アンビエント/ポスト・クラシカルの新鋭、ティム・リングハウスのデビュー作が〈コモン・ミュージック〉である理由 | Mikiki
ドイツ人音楽家による1stアルバム。メディアテークのショップでCDを買えたので驚きましたが、SCOLEからのリリースだそうです。納得(仙台市民向けの情報)。SCOLEからということで、良質なポストクラシカル / アンビエント作品です。
シンセサイザーやアップライトピアノ、ドラムマシンによるサウンドと、アルバムを通してずっと鳴らされる古いレコードのようなノイズが、リスナーにノスタルジックな感覚を持たせます。まさにタイトル 'Memory Sketches' の通りの内容。
TIM LINGHAUS - memory sketches (Teaser) - YouTube
19. hikaru yamada and the librarians / Everything drops except stamps
ワード縛りサンプリング という凄すぎる手法で作成されたアルバム。前半は歌なしビート集で、前作よりややハードめな曲が多く、これがとてつもなくカッコイイ。ワード縛りサンプリングなので、例えば1曲目 "rose" という曲ではタイトルに "rose" という単語が含まれている楽曲だけをサンプリングしてビートが作られています。スーパー縛りプレイ。
後半はゲストやLibrariansの相方・穴迫楓がfeatされたボーカル曲。それぞれ個性的で良い曲ばかり。個人的には "不眠 feat. 入江陽" が好きです。トラックも、入江さんのゆるめのボーカルもリリックもナイス。
Apple Musicなんかだと8曲入りで配信されていますが、CDは19曲収録 & サンプリング元ネタリスト付きです。レコ屋さんに置いてあるみたいなので、気に入った方はぜひCDも。
hikaru yamada+kyooo - fire alarm by yakamoti | Free Listening on SoundCloud
18. Lack the Low / One Eye Closed
Kat Hunterが3年間DIYで作り上げたアルバム。散りばめられたノイズや複雑なアレンジなど、非常に凝った作り込みがなされていますが、それ以上にボーカルのメロディーが素晴らしいということも挙げておきたい。一筋縄ではいかないサウンドの上に何重にも重ねられるボーカルが神秘的です。
17. Klan Aileen / Milk
INTERVIEW / Klan Aileen|Spincoaster (スピンコースター) | 心が震える音楽との出逢いを
ノイズ、轟音にまみれたロックバンドの新作。退廃的で美しく、刺すように鋭利な音。”元旦” の10分に及ぶループはもう呪術的とすら感じる。前作の "Nightseeing" のように派手なキラーチューンはありませんが、アルバムを通して溺れることができる作品です。
上に貼ったインタビューには工夫を凝らした録音の様子が少しだけ窺えます。凄すぎて笑えました。
Klan Aileen - "脱獄/Datsugoku" (Official Music Video) - YouTube
16. ゆるふわギャング / Mars Ice HouseⅡ
【聴いてみな、飛ぶぞ!】ゆるふわギャングの2ndアルバム「Mars Ice House Ⅱ」が本日リリース | Qetic
先行曲 "Palm Tree" でやられました。こんなに心地良いシンセってあるかね?2人のラップが半端じゃなくクールなのは当然であり、さらにトラックも全部最高。今年BROCKHAMPTONにハマった人は、これも聴いてみてほしい。
KID FRESINOのアルバムでのラップもかっこよかったし、無敵感がすごいです。
Yurufuwa Gang "Palm Tree" - YouTube
15. THE 1975 / A Brief Inquiry into Online Relationships (ネット上の人間関係についての簡単な調査)
『ネット上の人間関係についての簡単な調査』The 1975(Album Review) | Daily News | Billboard JAPAN
このバンドに対しては「ごめんなさい」から始めなくてはいけないでしょう。1stと2ndが好きではなかったので、売れてるロックバンド程度の認識でした。舐めてました。4曲目 "How To Draw / Petrichor" のエレクトロニカ・サウンドに殴られたような衝撃を覚え、"Sincerity Is Scary" のトランペットに悶え、"I Always Wanna Die (Sometimes)" のコーラスに感動し、完全に虜です。
Bon Iverらが創り上げてきたサウンドや、HIP HOP / R&Bの隆盛など、2010年代の流れを踏まえてロックバンドはどうするべきなのか、という問いに対する答えの1つがこのアルバムにあると思います。
The 1975 - Sincerity Is Scary (Official Video) - YouTube
14. 優河 / 魔法
注目のSSWによる2ndアルバム。僕が昨年のベストに挙げたOkada Takuro 'ノスタルジア' にも参加していた方で、Old Days Tailorにも参加している方です。特徴的な声が最大の魅力で、展開が少ないシンプルな曲でもその声の魅力で引き込まれてしまいます。まるでKaren Daltonのよう。
参加メンバーが豪華なのでサウンドも聴きどころ。ギターに岡田拓郎、ピアノにharuka nakamuraという私の好みドンピシャの布陣。こうしたメンバーの演奏により、弾き語りからバンドサウンドまで幅広いアレンジになっています。1曲目 "さざ波よ" と2曲目 "空想夜歌" だけでも、今作のバンドが入った曲の素晴らしさが分かります。
あと、アートワークが最高です。アナログ盤のサイズで欲しい。
13. Richard Reed Parry / Quiet River of Dust, Vol.1
Arcade Fireのメンバーとして知られるマルチ・インストゥルメンタリスト【Richard Reed Parry】の幻想的なソロ・アルバム。 | more records
Arcade Fireのメンバーとして知られるRichard Reed Parryのソロ作品。Arcade Fireの派手さやスケールの大きさなどは全くない、神秘的なフォークサウンドです。"Sai No Kawara (River of Death)" なんて曲も入っており、スピリチュアルな雰囲気が漂います。
Vol.2も制作されているようで、2019年リリース予定らしい。期待ですね。
Richard Reed Parry - "Song of Wood" - YouTube
12. People In The Box / Kodomo Rengou
LINER NOTES | People In The Box Official Site
これまでPeople In The Boxをあまり聴かずに過ごしてきましたが、先行曲 "かみさま" の美しさに心を打たれて聴きました。過去作もザッと聴いてみましたが、多分今作が1番好きです。過剰に複雑になることも華美になることもなく、とにかく品があるという印象。"町A" なんかめちゃくちゃ変な気がしますが、実は曲の構成はシンプルだし無理に聞こえる部分はなく、自然です。
そして歌と歌詞を聴くだけでも刺さる部分が多い。個人的に "かみさま" には本当に救われました。また、"あのひとのいうことには" の
もう期待さえしなくていい
これから起こることぜんぶ
息が止まるくらい美しい
ひとはそれを
狂気というけど
というラインにはやられました。泣けてきます。
People In The Box「かみさま」Music Video - YouTube
11. Okada Takuro / The Beach EP
Okada Takuroが新作『The Beach EP』をサプライズ・リリース | Mikiki
AORにドハマりしていた岡田さんが、自分でもクオリティが高いAORを作っちゃったというEP。 そしてこれがめちゃくちゃ良い曲で、夏はこればかり聴いていました。あと、個人的にはラスト "Mizu No Yukue" というアコースティックな楽器を多用したミニマルな曲がたまらなく好きです。夏の青空と緑の下で聴くとトリップできます。
アナログ盤を買うと、この素晴らしいアートワークが堪能できます。買いました。
10. S.Carey / Hundred Acres
S・キャリー 『Hundred Acres』 ボン・イヴェール好きにはたまらない!ソロ3作目 | Mikiki
Bon Iverのドラマーとして活躍するマルチ奏者によるアルバム。Bon Iverのディスコグラフィの中では 'For Emma' に近いですが、よりバンドによるフォーク感が強いです。柔らかいボーカルが特徴的で繊細なサウンドは、アルバムのアートワークから伝わってくる印象そのままです。
S. Carey - More I See (Official Video) - YouTube
09. KID FRESINO / ai qing
インタビュー:自分には音楽がある KID FRESINO『ài qíng』全曲解説 - CDJournal CDJ PUSH
待ちに待ったフレシノの新作!彼のクールなフロウは勿論のこと、ダンスビートに影響を受けたトラック、超絶ドラマー石若駿をはじめとするバンド編成による演奏、ケンモチヒデフミによるトラックなどサウンド面も聴きごたえ抜群です。そして客演陣がとんでもなくカッコイイです。ゆるふわギャングの二人、ISSUGI、JJJのラップが個人的に好きです。もともと個人的に好きなラッパー達ですが、今作でも輝いています。
KID FRESINO - Coincidence (Official Music Video) - YouTube
08. Bill Ryder-Jones / Yawn
Bill Ryder-Jones、5枚目のニューアルバム『Yawn』を 11/2 リリース! | indienative
The Coralの元ギタリストであるSSWによるエリオット・スミスのようにシンプルで切なく温かいソングに、シューゲイザーにも通じるノイジーで柔らかいギターサウンドが泣けてくる傑作です。音も歌も心に深く触れてくる作品です。
Bill Ryder-Jones - Mither (Official Video) - YouTube
07. 三浦大知 / 球体
【レビュー】三浦大知『球体』の衝撃 | 新たなリスナーにまで訴えかける、ポップスの傑作 - FNMNL (フェノメナル)
圧倒的なダンスと歌でお茶の間まで巻き込む大スターの新作。それがまさかのアンビエントR&Bの影響出まくり。世界的なトレンドとチルアウト系やポストEDMのダンスビートを取り入れた質の高いサウンドプロダクションが圧倒的です。ダンスビートが強い部分は、個人的な好みからは少し外れる瞬間でしたが、球体独演の映像でこの部分がダンスのための音楽ではなく物語を表現するための展開であることを知り、さらにこの作品の深みにはまってしまいました。ダンスも歌も上手いのは知っていましたが、まさか音楽的に心を奪われてしまうとは。これの作詞・作曲・編曲・プロデュースを行うNao'ymtこと矢的直明、凄すぎる…。
余談ですが、リリース後に ‘球体’ を褒めるツイートをしたら三浦大知ファンの方々から猛烈なRT・いいねが来て驚きました。「アンビエントとか何言ってるか分からないけど、大知君が褒められて嬉しい!」という、インディーシーンでは見られない光景。こういう熱心なファンがたくさんついている大スターが攻めまくりエクスペリメンタルなポップをやってくれるのは本当に嬉しいです。「大衆にヒットするにはダサい要素が無いといけない」みたいな秋元康的マインドを正面から打ち破れる作品(これは本当に余談)。
三浦大知 (Daichi Miura) / NEW ALBUM「球体」(2018/7/11 ON SALE) -Teaser- - YouTube
06. 中村佳穂 / AINOU
「私は私、あなたはあなた、だからこそ出会える」中村佳穂――音楽を愛し、音楽に愛されし才媛の生きる道 | Mikiki
度肝を抜かれる、気鋭のSSWによる2ndアルバム。再生した瞬間、その洒落てポップな曲調に思わず身構えますが(シティポップブームを経た防衛本能)、ボーカルのエフェクト、コーラスのパン振り・重ね方などなどから、只者ではないことが伺えます。"You May They" や "SHE'S GONE" など心地よいグルーヴの曲たちが印象的ですが、個人的にはラスト3曲が完璧です。"Self Control" 後半のヴォーカルを思わせる "忘れっぽい天使"、スローなビートにトラップのような乗り方が刺激的な "AINOU"、そして全ての生命を肯定するように力強い "そのいのち"。"そのいのち" はメロディーやサウンドもさることながら、歌詞も素晴らしい。
はいからいきゅねんいっけんどし
うつつうだらんうってんだゆ
光って光ってんだ 僕らが光ってるんだ
そのいのちちりじりじぬ
かぜすさぶぶりかえぬす
最後のがキまったよね!
QUEEN SING A、QUE IN QUE IN QUE IN !
この「分からないけど分かる」感覚、分かる。何かの呪文かマントラか、と思うほど底知れないエネルギーを感じます。普通に方言かもしれないけど。最初に歌詞を読んで聴いたときは、泣きました。最高です。
Kaho Nakamura SING US - Wasureppoi Tenshi / Sono Inochi [live ver] - YouTube
05. BROCKHAMPTON / iridescence
BROCKHAMPTONはいいぞ!vol.5 「iridescence」アルバム・レビュー|中嶋友理|note
Kanye Westのファンサイトを通して結成されたHIP HOPクルー。 メンバーによるマイクリレーがとにかくカッコイイ。またトラックもハードなものからメロウなものまでバリエーションが広く、全体を通して聞き心地が良いです。1曲目バキバキな "NEW ORLEANS" から、メロウな2曲目 "THUG LIFE" へのつなぎで即KO。
後半の "SAN MARCOS" コーラスパートまで来ると「自分は何を聴いていたんだっけ?」と一瞬混乱してしまいますが、曲の良さと全体を貫く感傷的な空気でアルバムとしての流れを崩しません。傑作!
NEW ORLEANS - BROCKHAMPTON - YouTube
04. ROTH BART BARON / HEX
ROTH BART BARONニュー・アルバム『HEX』大好評! 人間も機械も。オフラインもオンラインも。目に見えないモノをも信じ、ゆるやかにつながる“僕たちの音楽”とは | TURN
3年間待ちに待った新作。先行シングル "HEX" のバキバキなビート、ボーカルに対するエフェクトの多用などから、Bon Iver の '22, A Million' 以降の作品であることを強く感じる内容になっています。"Innosence" の金属的なビートとノイジーに暴れ回るフルート(奏者は池田さん ex-吉田ヨウヘイgroup.さすが.)や、"Hollow" のタムとエフェクトがかかったコーラスによる深い低音、"Speak Silence" のこれまでのロットには無かったグルーヴ感など、聴きどころは盛りだくさんです。岡田拓郎さんが参加したことで、エレキギターがサウンドに変化をもたらしているのもポイントですね。そして、そもそもソングとしてのクオリティが凄いのが最大の魅力でしょう。メロディーと歌の魅力だけでもリスナーを圧倒する作品です。
1曲目 "JUMP" の冒頭、
両手を高く上げて 知らない言葉で歌う
息が切れるまで 力を使い果たす
という歌い出しに、海外にも積極的に挑戦しているバンドの精神が表れていて、とても好きです。
そしてこれを書いている途中で、HEXクラウドファンディングのリターン、通称 '裏HEX' が来ました。アイディアと良いメロディーに溢れた粒ぞろいの作品でした。表裏HEX抱き合わせDeluxe Editionとか発売するべき。ようやく "Skiffle Song" が音源化されたのも嬉しい限りです。(ロットのYouTubeチャンネルを見ると2012年にSkiffle Songを演奏している映像が見つかります。本当にようやくです)
余談ですが、先日HEXツアー初日の仙台公演で、自分のバンドでO.A.をやらせていただきました。スタッフが全然いないDIYっぷりがイメージ通り過ぎて少し笑ってしまいました。ライブは当然のように最高。HEXがリリースされたことで、これまでのライブよりもアップリフティングなものになっていました。2019年もHEXツアーは続きますので、行かれる方は楽しんでください。
ROTH BART BARON - HEX - (Official Music Video) - YouTube
03. Joji / BALLADS 1
88rising の Joji が待望のファースト・アルバム『BALLADS 1』をリリース! | indienative
大阪出身アメリカ在住オーストラリア系日本人で元お騒がせ系YouTuberによる、最高のR&Bアルバム。ローファイなサウンドで鳴らされるバラードソング集になっています。'Blonde' などアンビエントR&Bや、チルアウト系のヒップホップが好きな人には、刺さり過ぎるくらい刺さるはず。はい、刺さりました。
1月に大阪で88risingのイベントに出演予定でしたが、キャンセルになってしまいましたね。ものすごく残念。
Joji - SLOW DANCING IN THE DARK - YouTube
02. Mid-Air Thief (空中泥棒) / Crumbling
謎多き韓国の宅録SSW「公衆道徳」改め「空中泥棒」によるアルバム。前作も素晴らしいアルバムでしたが、今作ではかなり進化したサウンドを聴くことができます。森は生きているの 'グッド・ナイト' に近い作品を、才能あるソロミュージシャンが作るとこんな感じかな、という印象でした。アコースティックギターをはじめとした楽器を幾重にも重ねた音像が特徴的で素晴らしいクオリティです。
あと、Mid-Air Thiefって名前、カッコいいですよね。
무너지기 (Crumbling) | 공중도둑 (Mid-Air Thief)
01. 土井玄臣 / 針のない画鋲
今年のマイベストは土井玄臣です。
Frank Oceanの 'Blonde' に通じるものを感じています。ビートが極限まで排除されアンビエントの系譜に連なるサウンドと、「俺だけのもの」感(適当な単語が出てこない)。
'Blonde' を聴いていると「自分に向けて歌われている」ような感覚になり、それが凄みの1つだと思います。歌詞の内容は自分とは全く関係のない話なのに。そしてこの '針のない画鋲' にも、それを感じることができるのです。
もういないきみの すぐそばにいる どんな姿なの?
ひかりでみえないよ
という歌い出しで始まるこのアルバムでは喪失が歌われるが、当然ながら聴き手には何も関係がないし、押しつけがましく語りかけてくるような歌詞もない。しかし何故か、ものすごく自然に、こちらの心の奥深くに触れてくる。これは自分のためのアルバムだ、と錯覚してしまう。
'Blonde' も '針のない画鋲' もアンビエントを志向したサウンドや美しいボーカルが、この感覚の大きな要因になっているのでしょうか。素晴らしかったです。
土井玄臣 - ハート / Motoomi Doi - Heart - YouTube
なお、今年最も聴いたのは昨年リリースだったこれです。
唾奇 × Sweet William / Jasmine
唾奇 x Sweet William | INTERVIEW | Amebreak[アメブレイク]
6月は毎日2~3周していたし、夏の間もかなり頻繁に聴いていました。Sweet Williamのメロウで美しいトラックと、唾奇の詩的でリアルかつクールなラップの相性が素晴らしく、リピートに次ぐリピート。最後に収められた "道 -Tao- (Soulera Remix)" は何度聞いても泣けてきます。
唾奇 × Sweet William / Made my day - YouTube
唾奇 道-TAO- prod by. TNG - YouTube
以上が2018年の年間ベストです。改めて見返すと好みが偏り過ぎていて笑えてきます。
来年も楽しみですね。就活やら修論やらで、今年以上に優しい音楽しか聴けなくなっている自分が見えます。2019年の年間ベストがアンビエント一色になっていたら、笑ってください。
それでは。