夏が近い

思い出せるように

森は生きている解散に寄せて

森は生きているが解散した。10/25に「今日のライブが最後です」とMCで突然言い、そのまま解散したらしい。

この知らせに驚いた僕は「え、嘘?」と言うしかなかった。信じられない。

 

これはあまりにも勿体無い解散だと思う。だって彼らは今の日本のインディーバンドの中で、ぶっちぎりで面白いことをしていたバンドだったから。次はどんな音を鳴らしてくれるのか、ずっと期待していた。

そんな中での解散である。僕はこの知らせが悲しくて、解散発表からは森は生きているばかり聴いている。

 

今後の活動が無いため、これから新しく森は生きているを知る、という人は減るだろう。だから、この記事を使ってこのバンドのことを少し紹介したいと思う。

今からでもこの稀有なバンドに出会ってほしい。

 

 

 

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2013年

 

夏頃、突然このバンドが各所で話題になり始めた。雑誌のレビューに、「森は生きている」という変なバンド名と「シティポップ」「フォーク」「はっぴいえんど」「東京インディー」「くるり」などのキーワードが飛び交っていた。

この手のキーワードが大好物な僕はすぐに飛びつき、彼らのデビューアルバム『森は生きている』を聴いて衝撃を受ける。

 

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フォークを筆頭に、カントリー、ソフトロックなんかの色が強いこのアルバム。人によってはゆったりしすぎて退屈、という感想を持つだろうが、はっぴいえんどやインディーフォークが好きな人には本当におすすめ。

穏やかなサウンドが特徴的だが、「ロンド」などの曲ではかなり刺激的なアンサンブルが聴ける。

 


森は生きている「ロンド」 at 三鷹おんがくのじかん 18.May.2013 - YouTube

 

まあ、出てきた時の森は生きているへの評価は、世間としてもこんな感じだった記憶。いい感じのインディーフォーク、ポップを鳴らすルーツ色が強いバンド。

 

自分も「いいバンドが出てきたな~」と喜びながらこの1stを繰り返し聴いていた。

 

 

 

2014年

 

 

夏に入るあたりからだったか、森は生きているについての噂が流れてきた。フェスのセットリストがとんでもないことになっているというものだ。

この年のRock In Japanに出演した彼らの演奏時間は30分。演奏されたのは「煙夜の夢」たった1曲。持ち時間を全てこの組曲に使ったらしい。

 

自分はこの流れにワクワクしながらも一抹の不安を覚えていた。おそらく不安でいっぱいだった人もたくさんいただろう。大好きなフォークバンドが突然組曲だけでフェスに出てるなんて言われて不安にならない人は変態である。

 

そんな期待と不安が渦巻く中、2ndアルバム『グッド・ナイト』が発表され、噂の「煙夜の夢」がリードトラックとして公開された。

 

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17分3部構成の組曲がリードトラックというのは、商業的自殺行為でしかないと思う。歌が入るまで6分かかるし。森は生きているが2ndを売ろうとしていたかすら怪しい。

でもここまではお金の話。肝心の曲だが、素晴らしい。フォーク、アンビエント、ロック、サイケデリックなどなどが混ざり合い、静謐な場面、歪んだギターが鳴るダイナミックなロックパート、牧歌的な雰囲気など様々な音像を創りだしている。この曲に限った話ではないが、ポストプロダクションにとてつもない労力をかけたらしい。

これ以上偉そうなことは書けないけれど、名曲。

 

結果的に『グッド・ナイト』は(セールスを除けば)成功したアルバムだと思う。「煙夜の夢」がかなり強い、この曲のためのアルバムとも感じてしまうが、彼らのイメージからは遠いハードロックのようなリフが飛び交う「影の問答」や、最後のドローンが美しい「磨硝子」などのインパクトも強く、粒揃いである。

 

しかし当然こんなアルバム、賛否両論である。誰か今からでも聴いて意見を聴かせてほしい。

 

ちなみに、『グッド・ナイト』リリースツアーのライブ音源がこちら。即興・ノイズにまみれている。本当に日本のバンドかよ。

 


森は生きている - "Good Night Tour" Live at Shibuya Club ...

 

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森は生きているは、上記の2枚を残して解散となった。

 

ちなみに、今度『グッド・ナイト』のLPがリリースされる。それが最後の作品だろう。かなりミックスを直しているようで、リーダーの岡田氏は「未完成だったアルバムは、これでようやく完成」と言っている。こんなことを言われてしまうと買いたくなってしまうが、こちとらレコードプレイヤーなど持っていない現代っ子である。

誰か再生環境がある人、手に入れたら連絡下さい。遊びに行きます。というかレコードプレイヤー欲しい。

 

 

長くなってしまったので、森は生きているの紹介を終わる。今まで縁が無かった人はぜひ聴いてみてほしい。いくつかの映像はリンクURLしか貼れなかったが、ぜひ。

 

最後に僕が彼らを大好きになったライブ映像を貼っておく。

1stアルバム『森は生きている』より、「帰り道」

 


森は生きている - 帰り道 @ 月刊ウォンブ! Vol.2 - YouTube